多重再帰構文を, 数値関数で打ち切ることを考えましょう. 例えば
f(X,T):[1]X[2]f([3]f(sX,T-1),[4])
という関数定義ですね. 多重再帰が常に2段階読み込まれるように, さらに[3]を定数にしてみましょう.
f(X,T):[1]X[2]f([3]f(sX,T-1),10)
さて, この関数を適当な初項で実行することを考えます. すると,
全ての数値が1以上である間は, 数値のない多重再帰
f(X):[1]X[2]f([3]f(sX))
と同じように振る舞います. そこで, 数値0が現れる瞬間を観察しましょう.
f(X,1) = [1]X[2]f([3]f(sX,0),10) = [1]X[2]f([3],10)
数値が0になり, 多重再帰にならなくなった瞬間, 新たにf([3],10)という関数に突入することが分かります.
したがって, この構文は (特殊な初項のあと) 無限ループに突入することが分かります.
さて, より慎重に
f(X,T):[1]X[2]f([3]f(sX,T-1)[4],10)
という関数を見てみましょう. [4]は先ほどは付けていませんでしたが, ここではなるべく一般的に論じてみます.
すると
ということが分かります. 非常に非常に複雑でヤバイ構文なので,
どのくらい応用があるのか今でも未知数な部分もありますね.
特にすごいのは[3]の働きで,
という3つの役割を果たせています. つまり単純化した
f(X,T):Xf([1]f(sX,T-1),10)
という程度の構文でも, 不思議な短縮が可能となるのです. 試しに
f(X,T):Xf(lf(sX,T-1),10) f(,1)
などというコードを実行してみてください.
180度回転および周期間の方向転換 (これは"l"が実行されないため起こる) などをしており,
到底コード中に"l"が1つしかないとは思えませんね!